E:診療の基本

1 症候・病態からのアプローチ


一般目標:
主な症候・病態の原因、分類、診断と治療の概要を発達、成長、加齢ならびに性別と関連づけて学ぶ。

【ショック】


到達目標:
1)ショックの定義、原因と病態を説明できる。
2)ショック患者の診断の要点を列挙できる。
3)ショックの治療を概説できる。

【発熱】


到達目標:
1)発熱の原因と病態生理を説明できる。
2)発熱患者の診断と対症療法の要点を説明できる。

【けいれん】


到達目標:
1)けいれんの種類と原因を列挙できる。
2)けいれん患者の診断の要点を概説できる。
3)けいれん発作時の初期治療を概説できる。

【意識障害・失神】


到達目標:
1)意識障害・失神の原因を列挙し、その病態を説明できる。
2)意識障害の程度評価(コーマ・スケール)を説明できる。
3)意識障害・失神をきたした患者の診断の要点を説明できる。
4)意識障害・失神をきたした患者の治療を概説できる。

【チアノーゼ】


到達目標:
1)チアノーゼの原因と病態を説明できる。
2)チアノーゼを呈する患者の診断の要点を説明できる。

【脱水】


到達目標:
1)脱水の原因と病態を説明できる。
2)脱水をきたした患者の診断と治療の要点を説明できる。

【全身倦怠感】


到達目標:
1)全身倦怠感をきたす原因を列挙できる。
2)全身倦怠感を訴える患者の診断の要点を説明できる。

【肥満・やせ】


到達目標:
1)肥満・やせを定義し、それぞれの原因を列挙できる。
2)肥満・やせを呈する患者の診断の要点を説明できる。

【黄疸】


到達目標:
1)黄疸の原因と病態を説明できる。
2)黄疸患者の診断と治療の要点を説明できる。

【発疹】


到達目標:
1)発疹の種類と主な原因を列挙できる。
2)発疹の所見を記述して分類できる。
3)発疹患者の診断の要点を説明できる。

【貧血】


到達目標:
1)貧血の原因、分類と病態を説明できる。
2)貧血患者の診断の要点を説明できる。

【出血傾向】


到達目標:
1)出血傾向の原因と病態を説明できる。
2)出血傾向を呈する患者の診断の要点を説明できる。

【リンパ節腫脹】


到達目標:
1)リンパ節腫脹の原因を列挙できる。
2)リンパ節腫脹を呈する患者の診断の要点を説明できる。

【浮腫】


到達目標:
1)全身浮腫と局所性浮腫の原因と病態を説明できる。
2)浮腫をきたした患者の診断と治療の要点を説明できる。

【動悸】


到達目標:
1)動悸の原因を列挙し、その病態を説明できる。
2)動悸を訴える患者の診断の要点を説明できる。

【胸水】


到達目標:
1)胸水の原因と病態を説明できる。
2)胸水を呈する患者の診断の要点を説明できる。

【胸痛】


到達目標:
1)胸痛の原因と病態を説明できる。
2)胸痛患者の診断の要点を説明できる。
3)胸痛患者に対する初期治療を概説できる。

【呼吸困難】


到達目標:
1)呼吸困難の原因と病態を説明できる。
2)呼吸困難の程度に関する分類を説明できる。
3)呼吸困難患者の診断の要点を説明できる。
4)呼吸困難患者に対する初期治療を概説できる。

【咳・痰】


到達目標:
1)咳・痰の原因と病態を説明できる。
2)咳・痰を訴える患者の診断の要点を説明できる。

【血痰・喀血】


到達目標:
1)血痰・喀血の原因を列挙できる。
2)血痰・喀血を呈する患者の診断の要点を説明できる。

【めまい】


到達目標:
1)めまいの原因と病態を説明できる。
2)めまいを訴える患者の診断の要点を説明できる。

【頭痛】


到達目標:
1)頭痛の原因と病態を説明できる。
2)頭痛を訴える患者の診断の要点を説明できる。

【運動麻痺・筋力低下】


到達目標:
1)運動麻痺・筋力低下の原因と病態を説明できる。
2)運動麻痺・筋力低下を訴える患者の診断の要点を説明できる。

【腹痛】


到達目標:
1)腹痛の原因と病態を説明できる。
2)腹痛患者の診断の要点を説明できる。
3)急性腹症を概説できる。

【悪心・嘔吐】


到達目標:
1)悪心・嘔吐の原因と病態を説明できる。
2)悪心・嘔吐を訴える患者の診断の要点を説明できる。

【嚥下困難・障害】


到達目標:
1)嚥下困難・障害の原因と病態を説明できる。
2)嚥下困難・障害を訴える患者の診断の要点を説明できる。

【食思(欲)不振】


到達目標:
1)食思不振をきたす原因と病態を説明できる。
2)食思不振を訴える患者の診断の要点を説明できる。

【便秘・下痢】


到達目標:
1)便秘・下痢の原因と病態を説明できる。
2)便秘・下痢患者の診断の要点を説明できる。

【吐血・下血】


到達目標:
1)吐血・下血の原因と病態を説明できる。
2)吐血・下血患者の診断の要点を列挙できる。
3)吐血・下血患者の初期治療を概説できる。

【腹部膨隆(腹水を含む)・腫瘤】


到達目標:
1)腹部膨隆(腹水を含む)・腫瘤の原因と病態を説明できる。
2)腹部膨隆(腹水を含む)・腫瘤のある患者の診断の要点を説明できる。

【タンパク尿】


到達目標: 1)タンパク尿の原因と病態を説明できる。
2)タンパク尿を呈する患者の診断の要点を説明できる。

【血尿】


到達目標:
1)血尿の原因を列挙できる。
2)血尿をきたした患者の診断の要点を説明できる。

【尿量・排尿の異常】


到達目標:
1)尿量・排尿の異常の原因と病態を説明できる。
2)尿量・排尿の異常をきたした患者の診断の要点を説明できる。

【月経異常】


到達目標:
1)月経異常の原因と病態を説明できる。
2)月経異常を呈する患者の診断の要点を説明できる。

【関節痛・関節腫脹】


到達目標:
1)関節痛・関節腫脹の原因と病態生理を説明できる。
2)関節痛・関節腫脹のある患者の診断の要点を説明できる。

【腰背部痛】


到達目標:
1)腰背部痛の原因を列挙できる。
2)腰背部痛を訴える患者の診断の要点を説明できる。

2 基本的診療知識


(1)薬物治療の基本原理


一般目標:
診療に必要な薬物治療の基本(薬理作用、副作用)を学ぶ。
到達目標:
1)薬物の蓄積、耐性、タキフィラキシー、依存、習慣性や嗜癖を説明できる。
2)主な薬物アレルギーを列挙し、予防策と対処法を説明できる。
3)中枢神経作用薬(向精神薬、抗うつ薬、パーキンソン治療薬、抗けいれん薬、全身麻酔薬)の薬理作用を説明できる。
4)自律神経作用薬(アドレナリン作用薬、抗アドレナリン作用薬、コリン作用薬、抗コリン作用薬)の薬理作用を説明できる。
5)循環器作用薬(強心薬、抗不整脈薬、降圧薬)の薬理作用を説明できる。
6)呼吸器作用薬(気管支拡張薬)の薬理作用を説明できる。
7)消化器作用薬(潰瘍治療薬、消化管運動作用薬)の薬理作用を説明できる。
8)利尿薬の薬理作用を説明できる。
9)ステロイド薬および非ステロイド系抗炎症薬の薬理作用を説明できる。
10)抗菌薬(抗生物質、合成抗菌薬)の薬理作用を説明できる。
11)抗腫瘍薬の薬理作用を説明できる。
△12)主な薬物の副作用を概説できる。
△13)年齢による薬剤投与の注意点を説明できる。
△14)薬物動態的相互作用について例を挙げて説明できる。
△15)処方箋の書き方、服薬の基本・コンプライアンスを説明できる。
△16)生物製剤の薬理作用と副作用を説明できる。
△17)和漢薬を概説できる。

(2)臨床検査


一般目標:
検査の方法、適応と解釈を学ぶ。
到達目標:
1)臨床検査の基準値・カットオフ値の意味が説明できる。
2)検査の特性(感度、特異度、偽陽性、偽陰性、検査前確率・予測値、尤度比)を説明できる。
3)末梢血液検査の目的と適応を説明し、結果を解釈できる。
4)尿検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。
5)糞便検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。
6)血液生化学検査項目を列挙し目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。
7)血清・免疫学的検査項目の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。
8)心電図検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。
9)動脈血ガス分析の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。
10)呼吸機能検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。
11)髄液検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。
△12)検査の誤差や生理的変動を説明できる。
△13)正しい検体採取の方法が説明でき、不適切な採取を行ったときの検査値の異常を判断できる。
△14)小児・高齢者の検査値の特徴を説明できる。
△15)一般細菌の塗沫・培養の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

(3)外科的治療と周術期管理


一般目標:
外科的治療と周術期管理の基本を学ぶ。

【外科的治療】


(3 (6)を参照)

【周術期管理】


到達目標:
1)手術の危険因子を列挙し、その対応の基本を説明できる。
2)基本的バイタルサインの意義とモニターの方法を説明できる。
3)主な術後合併症を列挙し、その予防の基本を説明できる。
△4)手術に関するインフォームド・コンセントの注意点を列挙できる。
△5)周術期管理における輸液・輸血の基本を説明できる。
△6)創傷治癒機転とそれに影響を与える因子を説明できる。
△7)経鼻胃管の適応と管理上の注意点を列挙できる。
△8)集中治療室の役割を概説できる。

(4)麻酔


一般目標:
全身麻酔・局所麻酔の基本を学ぶ。
到達目標:
1)麻酔の概念、種類と麻酔時の生体反応を説明できる。
2)麻酔薬と麻酔前投薬の種類と使用上の原則を説明できる。
3)吸入麻酔と静脈麻酔の適応、禁忌、事故と合併症を説明できる。
△4)気管内挿管・抜管を概説できる。
△5)局所麻酔、末梢神経ブロック、神経叢ブロック、脊椎麻酔、硬膜外麻酔の適応、禁忌と合併症を説明できる。
△6)循環動態、体液・電解質、酸-塩基平衡、血液ガス分析の意義と方法を説明し、データを解釈できる。
△7)悪性高熱を概説できる。

(5)食事と輸液療法


一般目標:
食事と輸液療法の基本を学ぶ。
到達目標:
1)主な疾患の食事療法を概説できる。
2)補液・経静脈栄養と経腸栄養の適応、方法と合併症を説明できる。
△3)輸液療法の原則と輸液剤の組成上の特徴を説明できる。
△4)乳幼児と小児の輸液療法を説明できる。
△5)微量元素の生理作用を説明できる。

(6)医用機器と人工臓器


一般目標:
医用機器と人工臓器の基本を学ぶ。
到達目標:
1)主な医用機器の種類と原理を概説できる。
2)主な人工臓器の種類と原理を概説できる。

(7)放射線を用いる診断と治療


一般目標:
放射線診断と治療の基本を学ぶ。
到達目標:
1)エックス線、CT、MRIと核医学検査の原理を説明できる。
2)エックス線(単純、造影)、CT、MRIと核医学検査の読影の原理を説明できる。
3)放射線治療の原理を説明し、主な放射線治療法を列挙できる。
4)放射線診断・治療による副作用と障害を説明できる。
5)放射線防護を説明できる。
△6)放射線造影法を活用した治療を概説できる。

(8)内視鏡を用いる診断と治療


一般目標:
内視鏡の原理とそれによる診断と治療の基本を学ぶ。
到達目標:
1)内視鏡機器の種類と原理を説明できる。
2)内視鏡検査法の種類を列挙し、概説できる。
△3)内視鏡を用いる治療を概説できる。

(9)超音波を用いる診断と治療


一般目標:
超音波機器の原理とそれによる診断と治療の基本を学ぶ。
到達目標:
1)超音波機器の種類と原理を説明できる。
2)超音波検査法の種類を列挙し、概説できる。
△3)超音波を用いる治療を概説できる。

(10)輸血と移植


一般目標:
輸血と移植の基本を学ぶ。
到達目標:
1)輸血の適応と合併症を説明できる。
2)交差適合試験を説明できる。
3)血液製剤の種類と適応を説明できる。
4)同種輸血、自己輸血、成分輸血と交換輸血を説明できる。
5)臓器移植の種類と適応を説明できる。
△6)脳死の判定基準を列挙できる。
△7)臓器移植と組織適合性の関係を説明できる。
△8)臓器移植後の拒絶反応の病態生理と発症時の対応を説明できる。
△9)免疫抑制薬の種類、適応と副作用を説明できる。

(11)リハビリテーション


一般目標:
リハビリテーションの基本を学ぶ。
到達目標:
1)リハビリテーションの概念と適応を説明できる。
2)リハビリテーションチームの構成を理解し、医師の役割を説明できる。
3)福祉・介護との連携におけるリハビリテーションの役割を説明できる。
△4)障害を機能障害、能力低下、社会的不利に分けて説明できる。
△5)日常生活動作(ADL)の評価ができる。
△6)理学療法、作業療法と言語療法を概説できる。
△7)主な歩行補助具、車椅子、義肢と装具を概説できる。

(12)介護と在宅医療


一般目標:
介護と在宅医療の基本を学ぶ。
到達目標:
1)介護の定義と種類を説明できる。
2)日常生活動作(排泄、摂食、入浴)の介護と環境整備の要点を概説できる。
3)在宅医療(酸素療法、栄養療法、透析療法)を概説できる。

(13)緩和医療


一般目標:
緩和医療の基本を学ぶ。
到達目標:
1)緩和医療を概説できる。
2)癌性疼痛コントロールの適応と問題点を説明できる。
△3)緩和医療における患者・家族の心理を説明できる。

3 基本的診療技能


(1)問題志向型システム


一般目標:
模擬症例について基本的診療計画を立てる。
到達目標:
1)基本的診療知識にもとづき、症例に関する情報を収集・分析できる。
2)得られた情報をもとに、その症例の問題点を抽出できる。
3)病歴と身体所見等の情報を統合して、鑑別診断ができる。
4)主要疾患の症例に関して、診断・治療計画を立てられる。

(2)医療面接


一般目標:
医療面接に関する基本的な考え方と技能を学ぶ。
到達目標:
1)適切な身だしなみ、言葉遣いや礼儀を実践できる。
2)医療面接の目的・意義(情報収集、良好な医師-患者関係、治療・教育的効果)を説明できる。
3)医療面接における基本的コミュニケーション技法を実践できる。
4)病歴情報の種類(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、社会歴、システムレビュー)とそれを聴取する際の手順を説明できる。

(3)診療記録


一般目標:
問題志向型診療録(POMR)と各種診療記録の書き方を学ぶ。
到達目標:
1)診療録をPOMR形式で記載する方法を説明できる。
2)診療経過をSOAPで記載する方法を説明できる。

(4)臨床判断


一般目標:
臨床的な判断に関する基本的な考え方を学ぶ。
到達目標:
1)臨床判断の概念を説明し、考慮すべき要素(病態生理学的・臨床疫学的事実、患者の意向、社会的要因)を列挙できる。
2)科学的根拠にもとづいた医療(EBM)を概説できる。

(5)身体診察


一般目標:
シミュレーションなどを通じて基本的な身体診察を学ぶ。

【全身状態とバイタルサイン】


到達目標:
1)バイタルサインを説明できる。
2)血圧測定の原理を説明し、正しく血圧を測定できる。
3)脈拍のチェックポイントを説明し、正しく脈拍をとれる。
4)呼吸数を測定し、呼吸パターンを観察できる。
5)体温測定の方法と注意点を説明し、測定できる。

【頭頸部】


到達目標:
1)頭部の診察ができる。
2)眼(視野、瞳孔、眼球運動、結膜、眼底)の診察ができる。
3)耳(外耳道、鼓膜、聴力)の診察ができる。
4)口腔・鼻腔の診察ができる。
5)甲状腺を含めた頸部の診察ができる。

【胸部】


到達目標:
1)胸部診察で確認すべき項目を列挙し、視診、打診、触診と聴診ができる。
2)乳房の診察の要点と診察の手順を説明できる。

【腹部と泌尿生殖器】


到達目標:
1)腹部の区分を説明できる。
2)腹部診察で確認すべき項目を列挙し、視診、聴診、打診と触診ができる。
3)泌尿生殖器の診察の要点と手順を説明できる。

【神経】


到達目標:
1)意識状態が判定できる。
2)脳神経の診察ができる。
3)深部腱反射の診察ができる。
4)小脳・運動機能の診察ができる。
5)感覚系の診察ができる。
6)髄膜刺激所見のとりかたを説明できる。

【四肢と脊柱】


到達目標:
1)四肢・脊柱の診察の要点と手順を説明できる。

【小児の診察】


到達目標:
1)新生児・小児の全身診察の手順を説明できる。

(6)基本的臨床手技


一般目標:
基本的臨床手技の目的、方法、適応、禁忌と合併症を学ぶ。

【一般手技】


到達目標:
1)静脈採血の手順、部位と合併症を列挙し、正しく採血できる。
2)血液型判定と交差適合試験の手順を説明し、実施できる。

【外科手技】


到達目標:
1)清潔と不潔の区別を説明できる。
2)器具の清潔操作の注意点を説明できる。
3)創の一次的閉鎖、遅延一次閉鎖、二次的癒合とデブリードマンを説明できる。

【救命処置】


到達目標:
1)一次救命処置(脳心肺蘇生)の基本的手技について説明し、モデルを用いて正しく実施できる。

  • 最終更新:2011-03-08 22:34:58

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード